シュウカイドウ科ベゴニア属
- 広報部
- 3月26日
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更新日:3 日前
原種ベゴニアはオーストラリアを除く世界中の国と地域の主に熱帯地域や亜熱帯地域に広い範囲で勢力を広め、その数は現在2000種を超え2100種あるともといわれています。

この原種ベゴニアは分類上シュウカイドウ科ベゴニア属【Begoniaceae Begonia】となっておりその特徴は、
・葉:多くは左右非対称である
・花:雌雄異花で同株。(例外も有り)
シュウカイドウ科にはベゴニア属以外にHillebrandiaという属があります。
この属には1種の植物しか存在していません。
その植物の名は、Hillebrandia sandwicensis
ハワイのマウイ島、カウアイ島、モロカイ島の限られた一部にのみ自生しているとされています。
形態的には、H. sandwicensis はベゴニアに似ていますが、花の構造、花粉の形態、果実の違いにより、この 2 つの属は分かれているのです。
1属1種というところに非常に惹かれるものが
ありますが、ここはぐっと我慢してシュウカイドウ科の話に戻ります。
シュウカイドウ科はかつて5属に分類されていました。
・Begonia
・Hillebrandia
・Symbegonia
・Meziothamnus
・Wettinia
しかしDNA解析などによりSymbegoniaはベゴニア属の「節・section」になり、MeziothamnusとWettiniaはベゴニア属に分類されるようになったのです。
ただ現在でも3属に分けるべきという説やもっと多くの属に分けるべきだという説を唱えている研究者がいることも事実です。

またここ20年でベゴニアの新種登録数は大幅に増えました。その理由として挙げられるのは、
1,新種発見のペースが加速している
特に東南アジアや中国での調査が進んだことが要因です。
2,DNA解析の進歩
遺伝子解析によって従来は同一種とされていたものが、別種として再分類されることが
増えています。その結果1種だったものが2種になるというケースも。
特にボルネオ島とパプアニューギニアは原種ベゴニアのホットスポットとも言われ、年に10種類以上の新種が発表されることもあるほどです。
これらの地域がホットスポットになっている理由は、
1,広大な熱帯雨林と山岳地帯があり、高湿度と温暖な気候でベゴニアの自生に最適な環境になってい
て、特に山岳地帯では標高ごとに異なる固有種が存在するため、新種が次々に発見されているので
す。
2,ベゴニアは極めて局所的に分布する傾向があります。たとえば、「特定の渓谷や山頂にのみ自生す
る種」が多く、新種が発見されやすいのです。ボルネオ島やパプアニューギニアでは1つの山域に
数種の固有種が存在することも珍しくありません。
3,近年、これらの地域では植物学者などによる調査が活発になっています。なので多くの新種が発見
され、論文が発表されるようになっているのです。
chatGPTに信頼のおける植物データベースと論文を調査してもらった地域と国別の登録数は、

◆南米:約600種
コロンビア約200種
エクアドル約150種
ペルー約100種
ブラジル約80種
ベネズエラ約40種
ボリビア約30種
◆東南アジア:約1230種
マレーシア約450種
インドネシア約400種
フィリピン約200種
タイ約70種
ベトナム約60種
ミャンマー約50種

◆アフリカ:約155種
コンゴ民主共和国約60種
カメルーン約40種
ガボン約20種
ギニア約15種
南アフリカ約10種
タンザニア約10種
◆インド及び中国:約150種
中国約100種
インド約40種
台湾約10種
以下のサイトから調べたそうです。(※chatGPTの調査結果ですので、正確か判りませんので参考としてください。)
Plants of the World Online (POWO) https://powo.science.kew.org/
International Plant Names Index (IPNI) https://www.ipni.org/
JSTOR https://www.jstor.org/
ResearchGate https://www.researchgate.net/
SciELO https://scielo.org/
Flora Malesiana https://floramalesiana.org/new/
Flora of China http://www.efloras.org/flora_page.aspx?flora_id=2
少し横道にそれますが、ボルネオ島産のベゴニアを良く見かけますよね。ボルネオ島は3つの国が統治していて、北部はマレーシアとブルネイ。中部から南部にかけてインドネシア。インドネシアではカリマンタン島と呼ぶのが一般的みたいです。

ちなみに不思議の国マダガスカルには、
原種ベゴニアでも独特な種があります。
Begonia bogneri
Begonia henrilaportei
Begonia lyallii
Begonia pteridoides
などが日本にも入っていて有名ですね。
さて日本に自生するベゴニアはあるのか?
実は沖縄に2種あるようです。
一つはマルヤマシュウカイドウ Begonia lacinata var. formosana 石垣島と西表島に自生。
二つ目はコウトウシュウカイドウ Begonia fenicis Merr. 石垣島、西表島、与那国島に自生。
さらにシュウカイドウ(学名:Begonia grandis)というベゴニアが日本で広く自生しています。このシュウカイドウは江戸時代に園芸用として持ち込まれたものが野生化してしまった、帰化植物なのです。
さらにさらにヒメシュウカイドウBegonia grandis subsp. evansiana というシュウカイドウよりも小型の種も同じように持ち込まれ、一部地域で野生化しているようです。
シュウカイドウ科ベゴニア属について書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。
ベゴニアの楽しみ方は無限に広がっています。
・ある地域に着目して集める。
・特定の色の色素を持つ品種を集める。
・葉の表面に棘や縞模様がある、形状や質感など特徴のあるものを集める。
・テラリウムやパルダリウムで楽しむ。
・ハンギングで育てる。
・好きなベゴニアを葉挿しで増やして楽しむ。
そして凄いことに
・好みのベゴニアを交配して自分だけのオリジナルベゴニアを生み出すことも出来ちゃいます。
原種2000種!南米のものとアフリカのものを交配させてみるなど、可能性無限大!
世界で唯一のあなただけのベゴニアを生み出すことも出来るんです。
まだまだいろいろな切り口があると思います。
みなさんもベゴニアをさらに深堀りしてみてください。